マイナスドライバー
8mmコンビネーションレンチ
14mmコンビネーションレンチ
22mmコンビネーションレンチ
3mmヘキサゴンレンチ
4mmヘキサゴンレンチ
8mmヘキサゴンレンチ
オイルシールインストーラ
定規
「アタッチメントG」と専用T字レンチ(スズキ特殊工具)


\9000

トップキャップOリング
ダストシール
オイルストッパリング
内六角ボルトガスケット
オイルシール
ガイドブッシュ
スライドブッシュ
フロントフォークスプリング(必要に応じて)

※上記を各2組用意

フロントフォークオイル(G-10)×1.2L
廃油処理用品



 オイルシールが破れていてどうしても交換という状況でははっきりいってものすごく手間がかかります。かつ重労働です。
 フォークオイルは使用期間が長くなると他の油脂類同様酸化や汚れにより劣化し、粘度も下がりますのでフォーク内部の部品の劣化を 早めたり、ハンドリングにも影響します。また、フォーク作動の度にオイルシール部分から少しずつオイルが漏れる関係上油面も 少しずつ下がっていきます。オイル自体のメンテサイクルはスズキでは指定されてませんが、一般的には1年毎に交換となります。
 作業の難易度は高くはありませんが、作業するほとんどの部分が走行に直接関係する重要な部分ですので、ボルト類の締め付けトルクが 非常に高く、ネジロック剤も多用されているため外す作業がかなりの重労働です。シールの破れがなくオイル交換のみだったらやる価値は あると思いますが、シールまで交換では私は二度とやりません。バイク屋さんに工賃として1万円払ってもお釣りがくると思います。
 また、この作業ではフロントホイール、フロントブレーキ、フロントフォークを含めた作業となるため、ミスが絶対に許されません。 いじりはじめて間もない方や自信がない、不安な方は避けたほうがよいでしょう。この部分はお金を惜しむ意味ではなくバイクを いじってみたい、という人にしかお勧めできません。
 もし、いじる目的で作業するならオイル粘度や油面など、カスタムしてみると面白いかもしれません。事前にサスペンションの 専門書に目を通しておくとよいでしょう。


 ハンドルを外します。管理人のバイクは社外のハンドルのためここでは具体的な方法については触れません。
 フロントホイールとフロントブレーキキャリパーを外します。 (フロントブレーキディスク交換)フロントホイールとフロントブレーキキャリパーを外した 後もジャッキアップしたままにします。


 フロントフェンダーを外します。大きい矢印の4つのボルトは4mmヘキサゴンレンチで、小さい矢印の4つのボルトは3mmヘキサゴンレンチ と、裏はナットになっているため8mmコンビネーションレンチで外します。


 フォークを外す前にトップキャップを22mmコンビネーションレンチで緩めておきます。ここは外すのではなく緩めるだけです。 ここで緩めておくのはフォークを外した後では緩めようとしてもフォークも一緒に回ってしまって無駄な労力となるため、フォークが 固定されているうちに緩めてしまいたいからです。


 アッパーステム、アンダーステム両方のフォーク固定ボルトを14mmコンビネーションレンチで緩めます。これでフォークはフリーの 状態なので、下に引き抜きます。フォークが単体になったところで全体の汚れをよく拭き取りましょう。さびも軽いものならば拭いた だけできれいに取れます。


 アウターチューブとインナーチューブの繋ぎ目にある黒いダストシールをマイナスドライバーでこじって取り外します。このとき、 勢い余ってインナーチューブを傷つけないように細心の注意を払います。万一傷つけてしまうとインナーチューブ交換となり、 高い買い物になります。


 ダストシールを外して中をのぞくと写真のオイルストッパリングでその下のパーツが外れないようになってます。汚れがひどい場合は 見えにくいと思いますが、よく掃除して探して下さい。オイルストッパリングはアウターチューブ内側の溝にはまってますので、 マイナスドライバーでこじって外します。ここでも絶対にインナーチューブを傷つけないよう細心の注意を払います。

 オイルストッパリングが外れたら、トップキャップを22mmコンビネーションレンチで外してフォークを逆さまにするとオイルと一緒に 金属製で筒状のスペーサ、ワッシャ、スプリングがでてきます。これらの位置関係を記憶しておきます。(オイルは廃油処理用品に) スプリングはピッチが途中で変わっており、ピッチがつまっているほうがフォークの上にきます。トップキャップのOリングは 交換しておきます。
 次に、アウターチューブの底部を見ると穴があいており、その奥にボルト(内六角ボルト)が見えます。このボルトを8mmヘキサゴンレンチ で外すのですが、フォーク内部の受け側を回り止めしないと空回りします。受け側はスズキの特殊工具「アタッチメントG」と専用の T字レンチで固定します。この内六角ボルトが結構なトルクで締められている上にネジロックがされており、かなりの重労働です。 基本的には2人がかりの作業ですが、回らなければ諦めてそれなりの設備があるところに依頼しましょう。管理人のバイクも結局外すことが できず、知り合いの自動車整備工場でエアインパクトレンチで回しましたが、最初の数回はレンチが空回りしました。人力では無理だった と思います。


 内六角ボルトが外れても圧入されているスライドブッシュの抵抗でインナーチューブは外れません。インナーチューブを思い切り 引っ張ってガコガコやってるとそのうち外れます。インナーチューブが外れると中からオイルロックピースがでてきます。
 写真が外したときの全パーツです。上から銀色のものがインナーチューブ、その下がアウターチューブ、その右のボルトが内六角ボルト、 その右がオイルロックピース、その下がスプリングで、その右はトップキャップ、その右にワッシャ、一番下の筒状のものはスペーサです。
 インナーチューブにはオイルシール、シールスペーサ、ガイドブッシュ、スライドブッシュがついています。これらすべてを 取り外します。このうち、スライドブッシュ以外は普通に取り外しますが、スライドブッシュはインナーチューブのへこんだところに ついており、切り目が入ってますので少し広げながら外します。また、スプリングには使用限度があります。長さを測って全長が302mm以下ならば交換となります。


 ここから組み立て作業です。この先の部品の組み付けはすべて汚れを落とし、フォークオイルを各部品の摩擦面に塗りつけることを 忘れないで下さい。まず、アウターチューブ底部にオイルロックピースを入れます。この部品には方向があり、肉厚が薄い方が インナーチューブ側(上)となります。この点に注意して下さい。


 インナーチューブ底部のへこんだところにスライドブッシュを取り付けます。取り外すときと同様、スライドブッシュに切り目が 入ってますので広げながら装着します。写真では同色のためかなりわかりづらくなってます。

 インナーチューブをアウターチューブに挿入し、8mmヘキサゴンレンチ、「アタッチメントG」と専用T字レンチを使用して内六角ボルトを 締めます。


 ガイドブッシュとシールスペーサをオイルシールインストーラで圧入します。オイルシールインストーラはスズキから特殊工具として 販売されてますが、高価ですので市販のもので代用したほうが投資は安くすみます。よく「塩ビパイプで代用・・・」というのが ありますが、圧入の際には重みがあるほうが作業が楽なため、専用の工具のほうがお勧めです。

 同じくオイルシールインストーラを使ってオイルシールを圧入します。ここには必ずグリスを塗付します。
 圧入がおわったらオイルストッパリングをアウターチューブ側の溝にきちんとはまるよう、マイナスドライバーでインナーチューブに 傷をつけないよう気をつけながら取り付け、ダストシールをはめます。
 これらの作業がおわったらインナーチューブを縮めた状態でフォークオイルを注入します。この段階ではスプリング、スペーサーなどは まだ入れません。また、注入の際には内部の空気が抜けるようにサスペンションをストロークしながら注入します。規定量は インナーチューブ上端から84mmの位置です。定規をインナーチューブ内側に入れて付着するオイル面で計ります。入れおわったら スプリング、ワッシャ、スペーサの順にインナーチューブにセットし、トップキャップをしめます。トップキャップはとりあえず 固定される程度に締め込めば大丈夫です。以上の作業を左右のフォークでしますが、バンディットはライトをフォークで固定してますので 1本がおわったらそのフォークは組み付けてからもう1本を作業したほうがよいでしょう。

 フォークを元通り組み付けます。ホイールなどを取り付ける前にトップキャップを22mmコンビネーションレンチで本締めします。 ホイールを組み付けて前輪が接地してからではフォーク内の空気量が狂いますので必ずこの段階で締め付けます。おわったらホイール、 キャリパー、フェンダー、ハンドルなどを元通り組み付けます。ここでのボルト類の締め忘れは致命的な事故の原因となりますので 充分に確認して下さい。
 フォークの突き出し量は左右ともまったく同じ量になるようにします。セパレートハンドル仕様のフォークの場合は突き出し量の 目安としてフォークにラインがありますのでラインとトップブリッジ面を合わせます。
 以上で終了です。上記の作業はシールが破れた場合のオーバーホールですので、シールが破けていない場合はオイル交換だけで よければシール交換などを省いて作業します。
 最後に、しばらくはフォーク下部の内六角ボルト近辺からオイルが漏れていないか、確認することをお勧めします。ここからの オイル漏れはしゃれになりません。それでは、頑張って下さい。

初回作成 2002/03/18
最終更新 2002/03/23